伊藤忠テクノソリューションズ(CTC)、事業運営の強化によってスマートな意思決定を加速

伊藤忠テクノソリューションズのサービスデザイングループ 情報システム室 情報システム部 部長代行/主任 エンジニアに、導入の背景と期待される成果について質問しました。

Delphixの導入が必要だった理由をお聞かせください。

経営陣がより適切な意思決定を行い、営業およびSEの業務の効率性と妥当性を改善できるようにと、2015 年に基幹システムの再構築を始めました。基幹システムの再構築には、インメモリデータベースで高速処理 を実現するS4/HANAを使用しました。SAP ERPとSAP BW/BO(Management Accounting/Free Analysis)により、安定した使いやすいアプリケーションを構築することができました。

その結果、各課が自分たちの管理情報レポートを閲覧して、即座に景況を把握できるようになるなど、大幅 な改善が見られました。使用開始後も、機能改善に関するユーザーのリクエストに応えていく予定です。ま た、フロントオフィス部門の効率化に向けてアプリケーションを改良する中で、システム運用に関連がある課 題を特定しました。

その課題をお聞かせください。

法律や規則の遵守、業務効率をさらに高めるためのアプリケーションの改良(機能の追加)、安定したシス テム運用のためのアプリケーション処理性能の改善など、こういったアプリケーションの開発にはテストが不 可欠です。

このようなテストには、本番環境の最新のデータが必要になります。しかしSAP/HANAでは、本番環境の データ量が日々増加していく中で、本番環境のデータを使用したテスト環境の準備にかなりの時間がかかり ました。開発チームがテスト環境にアクセスできるようになるまでに、SAP ERPとSAP BWを合わせて合計 17日のリードタイムが必要でした。その課題は次のようなものでした。

  • プロジェクト進行への影響:テスト環境の準備に非常に時間がかかったため、プロジェクトのタスク 管理が複雑化し、プロジェクト全体の実施と維持管理に深刻な影響を与えていました。

  • 人的労力の増大:テスト環境を利用できないため、各チームが自主的に準備したテストデータを使 用して開発とテストを行っている場合があります。十分な品質を維持するには、従業員が多くの時 間を割かなければなりませんでした。また、テスト環境の準備期間が長くなってしまっていたため に、インフラストラクチャ担当者とBASIS担当者のスケジュールを調整するのも難しくなっていまし た。 

Delphixの使用履歴をお聞かせください。

Delphixは2016年頃からありましたが、当時はHANAがサポート対象外でした。現在はHANAをサポートし ているため、概念実証の形態で初めてDelphixを試しました。

Delphix試用前後の比較:テスト環境データの準備に必要な時間

Delphixの評価と期待される成果

予想したとおり、テスト環境の準備に必要な時間は、明らかに短縮されました。検証の結果、データを短時 間でコピーできたことを確認しました。特に、17日のリードタイムが大幅に短縮され、1時間になりました。こ の計算をもとに、従業員が開発にかける時間を以前と比較して30%減らすことができると見積もっていま す。

BW環境の本番環境と同じデータセクションを使用してテスト環境を準備するのは不可能でしたが、Delphix のソフトウェアを使用することでデータ区分を一致させ、テストの品質を向上することができました。将来的に は、大がかりなオーバーホールの際に、システムコンプライアンスなどを目的とした有効なテストが実施でき ると考えています。

クラウドベースのCUVICmc2(CUBIC MC2)のメリット

クラウドプラットフォームであるCUVICmc2を使用することで、ハードウェアリソースの構成の変更(CPUやメ モリーの割り当ての変更など)に短期間で対応し、基幹システムの運用性を向上することが可能です。ま た、CUVICmc2上でDelphixを実行することにより、複数のプロジェクトのテスト環境がすばやく準備できま す。テスト環境に準備されたクロスセクションデータを短時間で復元して、テストを繰り返すことにより、品質 も向上できます。

CUVICmc2は、ミッションクリティカルなシステム専用のIaaS形式のサービスで、お客様の97%がSAPを稼 働させるために使用しています。S/4 HANAを使用する過半数のお客様が、広範な業界の規模が異なるさ まざまな企業から受託していたことは特筆すべき点です。現在は新規の導入に限らず、既存インフラストラ クチャの置換においても柔軟で信頼性の高いクラウドが求められており、そのようなケースでは、Delphixと CUVICmc2を組み合わせた使用を提案しています。これにより、さらに柔軟な実行プラットフォームをプロビ ジョニングすることができます。

将来の展望

将来的には、Delphixをいっそう活用するために、テスト環境の準備(データのコピー、復元、設定の変更な ど)を完全に自動化し、環境を即座に提供できるシステムを構築して、他のシステムでも使用できるようにす る計画を立てています。

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